患者を呼び戻す診療体制を考える

4月の緊急事態宣言から5月の緊急事態宣言解除に向けての患者動向は、医療機関において様々な影響を与えている。院長を含めたスタッフの感染リスク、患者減による収益悪化、診療時間の見直し、スタッフ体制の再検討など考えるべき点が多い。診療科目や立地によっても状況は異なる。先が見えない中でどう対応していくかの判断は難しい。

一応に院長が感じていることは、患者が以前のように戻らないだろうという推測。特に3割以上減っているケースでは、どこまで患者が戻るかでこれからの資金繰り、借入金返済、スタッフの雇用確保等の検討が必要になる。まだ安定期に入ってない開業3年未満のクリニックは、安定するまでにさらに1年程度かかることが予測され、資金手当を考えながら凌ぐ経営を強いられることになるだろう。

クリニック経営の基本は新患獲得である。新患が一定数増え続けなければ一日の平均患者数は増えない。内科では、対策として熱発や風邪症状等の患者の診療拒否(他の医療機関へ紹介)や日曜や平日の遅い時間帯の臨時休診、初診患者の電話予約等など患者制限をするケースも見られる。当然他のクリニックより患者減少の割合も大きくなる。行過ぎると元に戻すには相当の努力が必要となる。

発熱外来を掲げたクリニックでは、他の患者が受診しなくなったという話も聞く。住民検診も未定の地域があって患者を拾うこともできない。一方、在宅や介護はニーズは減っていない事もあって、午前中外来、午後在宅に切り替えるケースもある。患者が3割以上減ったクリニックでは、予約制の導入、感染リスクを考えての診療時間振り分け、オンライン診療等を取り入れた所もある。

しかし、それだけで単純に患者数回復するとは思えない。診療方針や診療内容を見直し、新患獲得対策(再初診を含む)を検討しなければならない。どういう部分を広報すれば患者が受診しやすくなるのか、選ばれるには何が必要か、感染リスクを含め気づいた点から試していくようにして欲しい。緊急事態前に戻すためには、開業当初のように間口を広げなければ患者は増えない。

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