決算対策に対する会計事務所の対応
個人経営の診療所では、12月まであと2ヵ月半となった。そろそろ決算について検討し、節税対策や税金を支払う準備をしなければならない。日頃から毎月、月次出している医療機関も今年度の所得について税理士と検討をしなければならない。
決算申告時期になると会計事務所は忙しくなる。12月からは年末調整がスタートし、急に忙しくなってきて特に2月の確定申告時期から3月末にかけては準備不足の事務所ほど大変忙しくなる傾向にある。
一般会社でも大規模な会社では経理部があり、月次が行われているが、小規模(零細)会社では毎月実施している例は意外に少ない。医療機関(診療所)では1-2か月遅れて月次を行っていることが多い。もし、3-4ヶ月に1度という割合でまとめて月次を実施しているなら有効な決算対策はできにくいと考えるべきである。
決算対策は、少なくとも決算期の2-3ヵ月前に検討しなていなければ決算対策ができないこととなる。決算期を過ぎた後に対策をたててもその経費は当然来期に計上しなければならない。
また、決算期間際になって保険という対策はよくある話であるが、毎年高額の保険料を支払い続けるなければならず、有効で本当に必要な保険という考え方からすると決して有効 な節税対策とは言えないことが多い。目先ばかりを見すぎていては結局 保険会社の思惑通りとなる。
会計事務所が代理店となっているなら保険加入によって手数料をもらうのは会計事務所であり、その上保険内容に関して詳しい会計事務所であればよいが、ほとんど保険会社に丸投げであり代理店としての責任も果たせないケースが多い。このような会計事務所が的確な節税対策やアドバイスが可能だろうかと考えてしまう。
会計事務所には、毎月顧問料を支払っているし決算料も支払うのだから決算対策に関して、前もって当然対応すべきところが「他の会社の申告で忙しいので少し待ってもらえませんか」「遅れてすみません。もう少し待ってくっださい」など言い訳にならない言い訳が毎年続くケースも見られる。このようなことが続く会計事務所は変えるべきである。
先日も上記のようなことがあり、上司にクレームをつけると、その担当者の怠慢ぶりや言うことを聞かない、嘘ばかり付くと「私は悪くない担当者が悪い。」という内容の弁明。何かおかしくありませんかと言いたい。我々は会計事務所に委託しているのであって、担当者に委託しているのではない。「会計事務所が悪いのであって、すべて担当者の責任とはいえない。」
このようなケースは、若い担当者(経験の少ない)の場合に起こりやすく35歳以上の中堅以上の担当者では、発生するケースは少ない。
日頃の対応に不満があり、その対応が遅いことに原因があるならできる限り早く担当者を変更してもらわなければ有効な節税対策や的確なアドバイスはないといってよい。決算期が過ぎて1-2月にどうしましょうかと言っているような担当者は、決算対策ができないとわかっていてお伺いを立てているだけである。全く無策の節税対策である。
職員の多い会計事務所にこのようなケースが比較的多い。 決算対策は11月までに検討終了しなければならない。早めの対策が必要である。